騒音で苦情! 貸主の責任とは?

集合物件では、他の部屋からの“音”でトラブルになることが少なくありません。
「どうにかしてほしい」と入居者から直接話をされたり、また不動産会社を通して相談を受けたりするケースもあるでしょう。

しかし、“音を完全になくす”ということは現実的に不可能です。
では貸主は、騒音の苦情に対してどこまで・どう対応すべきなのでしょうか?

◎騒音の苦情に対して対応すべき?

対象となる不動産物件を管理しているのは、どなたですか?
多くの場合、「不動産会社」「大家」の2択になるでしょう。

不動産会社に物件の管理を委託している場合、苦情の対応にあたるのは不動産会社です。管理・運営をまかせている限りは入居者とのやり取りもすべて請け負うことになるので、対応は不動産会社に一任しましょう。

一方、物件を管理しているのが大家なら、大家が対応する必要があります。
しかし対応を間違えると、余計に問題が悪化することがあるのでご注意ください。

◎騒音とはどの程度のレベル?

騒音に対する対応は、容認の度合いが難しいところです。
隣室の住人に注意したところで、「そんなに大きな音は出していない」と一蹴されることもあるからです。

どの程度が“騒音”になるのかは、環境省が定めている「騒音に関する環境基準」を参考にしましょう。
この基準では、「40~60デシベル」が騒音とされています。
ただ、時間帯や周辺環境、苦情の内容などさまざまな要素を加えて、総合的に判断されることがほとんどです。

このように騒音の基準は一概では言えないので、あくまでひとつの指標として考えることをおすすめします。

◎騒音に対する対処とは

騒音の苦情を受けたら、入居者に注意をしなければなりません。
「直接注意する」という方法もありますが、トラブルを避けるために「間接的に注意する」のもひとつの方法です。

直接注意する場合、まずは他の入居者に話を聞くことをおすすめします。被害者が過敏になりすぎるあまり、些細な物音まで騒音ととらえることがあるからです。慎重にヒアリングして、生活に支障が生じるレベルの音なのかを判断しましょう。

一方、間接的に注意する場合は、『騒音で悩んでいる方がいます。夜中に大音量で音楽を流すのはご遠慮ください』などと紙に書き、ポストに投函したり掲示板に貼ったりするのが良いでしょう。

何度か注意しても改まらない場合は、賃貸契約の解除も可能です。ほとんどの場合、賃貸契約書には『騒音は迷惑になるため禁止する』という旨が書かれているはずです。入居者たちが安心して暮らせるよう、改善が見られないようなら契約解除の選択肢も視野に入れることをおすすめします。

◎まとめ

集合住宅では、騒音トラブルがつきものです。
騒音の苦情を受けたら、他の入居者にも話を聞きながら慎重に対処しましょう。
場合によっては賃貸契約を解除することも可能なので、個別の状況ごとに最善の選択を心がけると良いですね。