金利上昇の兆しと不動産投資における展望とは?

1990年代後半から日本では「ゼロ金利政策」が実施されてきました。不動産投資をする人にとっては、金融機関からお金を借りやすい時代が続いていたのです。

しかし昨年の12月20日、日銀総裁が長期金利の許容変動幅を±0.25%から±0.5%に引き上げると発言したことが業界にも波紋を呼んでいます。

●金利上昇の背景

日本はこれまでずっと景気が悪かったため、金利を下げることでお金を借りやすくして景気を回復させようとしてきました。

今回、金利を引き上げることになった背景にはアメリカのインフレが影響しています。

金利が上がると借り入れが難しくなるので、大きな買い物をやめる人が増えていきます。金利を上げるのはインフレを抑えるためなのです。

では、金利上昇による不動産投資への影響とはどのようなものでしょうか。

●不動産投資への影響と対策

不動産を変動金利で購入した場合、ローンの金利が上がると総支払額が増えるために銀行から借り入れることのできる額が減ります。そのため、不動産価格は金利上昇前より低くないと売れない状況になり、結果として不動産価格は下落する傾向にあります。

不動産投資で金利が上昇した場合の対応策は、次の4つです。

①固定金利に変える

固定金利に切り替えることで、金利が上昇しても影響を受けることが少なくなり、結果としてローンの支払い総額も抑えることができる場合があります。ただし、金利タイプの切り替えには一般的に手数料がかかるので注意しましょう。

②他の金融機関でローンの借り換えを行う

ローンの借り換えとは、他の金融機関で住宅ローンの契約を行い、はじめに契約した残金を一括返済することです。少し面倒ですが、金利が低い金融機関があれば借り換える方がお得になる場合があります。こちらも手数料など諸経費がかかるので、それらを加味して借り換えシミュレーションを行いましょう。

③繰り上げ返済をする

自己資金に余裕があれば、繰り上げ返済を活用する方法もあります。繰り上げ返済の方法として、返済期間を短くする「返済期間短縮型」と、毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」があります。それぞれの状況にあった方法を選択しましょう。

④不動産を売却する

不動産を持っていても赤字になる場合、売却するという方法もあります。

●金利が上がると不利なのか?

実は、不動産投資における金利上昇は必ずしも悪いことだとはいえません。金利が上がっている場合、世の中はインフレなので家賃も上がる可能性があるからです。

不動産投資は安く購入できることも重要ですが、借り手から高く借りてもらえることも重要なのです。

●まとめ

金利上昇後も、よりお得に・効果的に不動産投資の運用ができるよう見直しやシミュレーションをしっかりとおこないましょう。対策にもそれぞれのメリット・デメリットがありますので、より収益が改善する方法を選ぶことが大切です。

どんなに世界情勢が悪化しても家を借りる人はゼロにはなりません。金利にとらわれず、お買い得な物件があれば気後れせず購入してみましょう。