事故物件は告知しなければいけない?

アパートやマンションなど不動産を経営していると、まれに部屋が「事故物件」になることがあります。

次の入居者に貸したくても、事故物件と伝えた時点で断られそうで……と、告知を躊躇することもあるでしょう。

では、事故物件は必ず告知しなければいけないのでしょうか?
事故物件の定義や告知義務について、詳しくご紹介します。

◎事故物件の定義とは

「事故物件」として真っ先に思い浮かぶのは、殺人や自殺があった部屋ではないでしょうか。
しかし「事故物件」の定義はあいまいで、一般的には不動産会社が事例ごとに決めていきます。

たとえば老人が突然死した場合。
連絡がつかないことを心配した家族が、その日のうちに駆け付けて亡くなった老人を発見すれば、事故物件には相当しません。
しかし完全な孤独死で、死後だいぶ経ってからようやく警察に発見されたとなると、事故物件に認定される確率は高くなります。

このように、事故物件の認定を左右するのは“一般的な感情”です。
「こういう事例があった部屋に住みたいか」と問いかけたとき、NOと言われる確率が高いのであれば、それは事故物件扱いとなるのです。

◎事故物件に告知義務はある?

気に入って借りた部屋なのに、実は自殺があった事故物件なのだと後から別の入居者に教えられることもあるかもしれません。「入居前に知っていたら借りなかったのに!」というようなトラブルを避けるため、宅地建物取引業法では事故物件に対する告知義務が定められています。
事故物件にも関わらずそれを告知しなかった場合、入居者は損害賠償を請求できるのです。

しかし、「事故からどの程度の期間まで告知するのか」までは明確に規定されていません。
ニュースにならなかったような出来事なら、短期間だけ告知して、後は通常の部屋と同じ扱いをする業者は少なくありません。また事故物件に誰かが入居すれば、退去後から告知をしないケースもあります。

このように、現状ではルールを検討している状態で、事故物件に対する対応は不動産会社によってさまざまなのです。

◎不動産会社も知らない事故物件とは

不動産会社は、管轄するすべての建物の事故物件情報を把握しているわけではありません。

たとえばオーナーが事故物件であることを隠して不動産会社に仲介を依頼していたり、オーナーが事故当時から変更になっていたりと、過去の事実がうまく伝達されないこともあるのです。

建設時からずっと同じオーナーで、管理会社も同じ物件であれば、事故物件情報はほぼ確実に把握できているでしょう。
心配であれば、不動産会社に直接問い合わせることをおすすめします。

◎まとめ

事故物件に告知義務はありますが、その定義も期間もあいまいです。
時には不動産会社さえ事故情報を把握できていないこともあるので、事故情報について不安があれば、入念に調査する必要があるかもしれません。

まずは既知の事実を伝え、入居者の納得を得たうえで気持ちよく契約しましょう。